電子レンジ前面窓からの電磁波シールドに挑戦しました

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以前、電子レンジからの漏洩電磁波を徹底的に調べた結果、前面からの漏洩電磁波が最も高いことが判明した。
前回記事:電子レンジの漏洩電磁波の測定結果から危険な位置が判明

そこで今回は電子レンジの前面窓からの電磁波シールドに挑戦したのだが、意外な結果となった。

実験に使用した電子レンジ

メーカー:パナソニック
品番:NE-BS603
購入日:2016年
電子レンジ

電磁波測定器

今回はトリフィールドメーターTF2の高周波測定モードで測定してみましょう。
マイクロ波専用測定器TM-195のほうが精度は高いのですが、TF2でもマイクロ波測定は可能です。
ただし、電子レンジ出力500WではTF2の測定可能範囲を超える瞬間があり、ピーク値にエラーが出てしまいますので、レンジの出力は最小の150Wで前面からの距離20cmという条件で測定していきます。
今回は動画撮影しましたので、測定器の以下の箇所に注意してご覧ください。

トリフィールドメーターTF2画面説明

測定環境

500Wでは庫内に入れた水がすぐに沸騰してしまうのと、電磁波が強すぎてトリフィールドメーターTF2の測定可能範囲を超えてしまうので最小出力の150Wで実験します。
ちなみに庫内に何も入れずに運転すると空焚き状態のような感じになり、マイクロ波発生装置のマグネトロンに負荷がかかって、故障の原因になりますので同じような実験をする方は必ず庫内にはマイクロ波を吸収する物を入れてくださいね。
電子レンジと測定器との距離は20cmとしました。

電子レンジの前面シールドに挑戦

レンジバリアとは

株式会社メイワパックスから発売されているレンジバリアという商品があります。
電子レンジの前面の窓に貼り付けることによってマイクロ波をカットするという商品です。

電子レンジの窓には金属メッシュや、多孔性の穴の空いた金属板などで電磁波の漏れ対策は施していますが、さらにこのレンジバリアでダブル対策をするということです。
このレンジバリアは金属線が網目状に施しており、網目の幅は約7mmでした。電子レンジのマイクロ波の波長は12cm程なので当然この網目を通り抜けることは出来ません。

レンジバリアの実力検証

ジャジャーン!電子レンジの窓に貼り付けました。
縦幅は若干余裕があったのですが、横幅は5mm くらい足りませんでした。
ちなみにレンジバリアのサイズは22cm×32cmです。

下の動画はレンジバリア有り無しの比較動画です。
マイクロ波の数値は頻繁に変動しますので、少し見にくいですが測定器の左上に表示されているピーク値を見たほうが分かりやすいかも知れません。

どうでしょう?
残念ながらほとんど変化が無いように見えますね。
どうやらレンジ前面からの漏れは窓からでは無いのかも知れません。

さらにアルミホイルでシールドだ!

こうなれば、さらにアルミホイルで窓を塞いで実験してみます。
「レンジの中が見えませんやん!」とのツッコミが入りそうですが、とりあえずやってみましょう。
アルミホイルはマイクロ波のシールドに有効なことは実証済みです。
参考記事:帽子の中にアルミホイルを入れれば電磁波の影響を減らすことができるのかを検証

これでレンジ窓の穴あき金属板+レンジバリア+アルミホイルのトリプルシールドです。

これで変化が無いのなら電子レンジの漏洩電磁波は窓からの漏れでは無いと言って良いでしょう。さて、結果はいかに。

少し減衰したような気もしますが、劇的な変化はありません。
電子レンジの前面からの漏洩電磁波は窓からでは無かったと結論づけて良さそうです。

まとめ

電子レンジの前面からの漏洩電磁波が一番高いことは分かっていたが、実は窓からの漏れでは無かった。ではどこから漏れているのか?

考えられるのは扉と本体ドア開閉の密着部分(ゴム)からの漏れではないだろうか。
そこでゴムの部分の導通テストをしてみた。

ご覧のとおり導電ゴムは使用しておらず普通のゴムを使っていました。さらにゴムの外枠は樹脂なので当然導通はしません。この辺りに導電性のある素材を使うと漏れたマイクロ波でスパークを起こしてしまう可能性があるので導電性の物質を使うことは出来ないのかも知れません。

イメージ的には窓から漏れていると思っていましたが、実はそうでは無く扉の枠(ゴムや樹脂の部分)からの漏れだったようです。残念ながら、今のところ枠部分への対策方法は思いつきません。(/_;)

前回の実験で以下の6点のアドバイスをしましたが、6番目のアドバイスはあまり有効とは言えないことが分かりました。

  1. 作動中はなるべく前面には立たない。
  2. キッチンの立ち位置や食卓側にレンジの前面がこないように置き場所を考える。
  3. やむなく前面に立つ場合は50cm程度は離れる。
  4. 調理具合が気になっても絶対に運転中は庫内を覗き込まない。
  5. 背面側は意外に安全。(密着時でも0.1μW/cm2以下と4面の中では最も数値が低い)
  6. 前面ガラスに貼り付けて電磁波をシールドするレンジバリアという商品も販売されています。

今回は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は電子レンジを電磁波シールド材で丸ごと包むことに挑戦してみたいと思います。
電子レンジの漏洩電磁波との戦いはまだまだ続くのでありました。

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    コメント

    1. 井澤裕子 より:

      前回の実験に引き続き、とても参考になりました。前面に立たない、途中で覗かない、を徹底したいと思います。ありがとうございます。

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    macco