マイクロ波専用の電磁波測定器TM-195にて、スマートフォンの電源を入れた時と切った時で電磁波の変化を測定してみました。数値の変化が分かりやすいように動画撮影しました。
電源投入時には通常より電磁波は強くなるのでしょうか?また逆に電源を切る時は?
通常、我々は電磁波を感じることはありません。実際に測定器を用いて客観的に数値として見るのが一番です。
携帯やスマートフォンで通信しているマイクロ波とは?
携帯電話やスマートフォンは電波(電磁波)でデータや音声のやり取りをしていますが、その電磁波の種類はマイクロ波と言い、総務省によって使用する周波数はそれぞれの通信事業者に割り当てられています。ちなみにどの通信事業者がどの周波数帯を利用しているかはこのページに詳しく記載されおりますが、大体800MHz~3.5GHzの間で利用されているようです。
Wikipediaでのマイクロ波の説明は以下のとおりですご参考までに
マイクロ波は一般的に、波長 1mから100μm、周波数 300MHzから3THzの電波(電磁波)を指し、この範囲には、デシメートル波 (UHF)、センチメートル波 (SHF)、ミリメートル波 (EHF)、サブミリ波が含まれる。しかし、明確な定義がある用語ではなく、より狭い範囲やより広い範囲に対して用いられることもある。(Wikipediaより抜粋)
マイクロ波の測定単位について
電磁波の単位として低周波の場合はガウス(G)やテスラ(T)はよく聞きますが、マイクロ波の場合は単位面積あたりの電力を使います。1m2あたりのW/m2や1cm2あたりのW/cm2がありますが、通常はW/cm2を使用します。測定単位についての詳細はこちら。
ちなみに、電波法では周波数1.5GHz~300GHzにおいて電力密度は1mW/cm2以下に規制されており、携帯電話基地局などの無線設備について、0.2~1mW/cm2 (200~1000µW/cm2)のばく露限度を超える場所への立ち入りは柵などを設けており、通常は立ち入ることは出来ません。
使用する測定器TM-195について
使用する測定器は台湾のテンマーズ社のTM-195です。テンマーズ社は1969年に台湾で創業した測定器メーカーで創業者の林氏は日系電機メーカーでの勤務経験があるそうです。欧米での販売実績も豊富ということで普通に使うには信頼出来ると思います。TM-195の測定可能周波数は50MHz~3.5GHz、測定範囲は0.001µW/cm2から検知することが可能です。
実験用のスマートフォンについて
このレベルの実験では機種によって大きな違いが出るとは思いませんが、、とりあえず実験機の紹介をしておきます。アウトドア派の私が普段使用しているスマホはSIMフリーの京セラTORQUE(SKT01)でドコモ系の格安SIMを差してます。アンドロイドでバージョンは4.2と激遅ですが、落としても水に浸けても踏んづけても大丈夫なので愛用してます。
ちなみに、機種によって電磁波の吸収率は微妙に違います。メーカーは機種別にSAR値として公表しておりますので興味の有る方はこちらのページで自分の機種のSAR値を確認してみては。
実験動画をご覧ください
補足
TM-195には以下の表のとおり4種類の測定モードがあります。「実測値」と「最大値(MAX)」と「平均値(AVG)」と「最大値更新(MAX AVG)」です。マイクロ波の実測値は激しく変化しますので、通常は「最大値(MAX)」を使用してその環境での最大値を出しますが、ここでは変化を見るために「平均値(AVG)」モードで撮影しました。それでも頻繁に通信しているため変化は激しかったです。
まとめ
0.003µW/cm2程度の環境において、スマートフォンの電源のONとOFFでの電磁波強度を確認しましたところ最も高かったのは約14µW/cm2で平均すると6~8µW/cm2程度の時間帯が多かったようです。通常時の電波交信と比較してもそれほど高くなることも無く、ブラウザを立ち上げてデータをダウンロードしても待ち受け時とは大きく違わなかったようです。ちなみに、登山に行った時にAMラジオを聞きながら近くでスマートフォンの地図アプリを立ち上げたりした時に大きくノイズが入ったりします。それはAMラジオはKHz帯なのでスマホの交信電波では無く機器が動作する際の電磁ノイズが影響を及ぼしていると思われます。
今回の実験で利用した電磁波測定器TM-195が1週間レンタル出来ます。詳細はこちらにて。