スマートフォンやタブレットに押され気味のノートパソコンだが、操作性等の使い勝手の良さやディスプレイの見やすさからもビジネスシーンで利用されている方も多いでしょう。
今回はノートパソコンからの電磁波をあらゆる位置から測定して検証してみましょう。
ノートパソコンから出る電磁波の周波数は広域にわたります。下は商用周波数の50Hz、60Hzの極低周波から、上はCPUクロック周波数の数GHzの高周波までとかなり広域です。それでは測定結果をご覧ください。
測定対象のノートパソコン
DELL Inspiron 15
CPU:Core i3 5005U 2.00GHz
メモリは4GBでしたが、4GBを増設して8GBにしてます。
2016年に中古で購入したノートパソコンです。
PC本体に加えて、今回はACアダプターやW-Fi通信電波のマイクロ波も測定してみます。
使用する電磁波測定器について
新型トリフィールドメーターTF2を使用します。低周波から高周波までこれ1台で測定可能です。
デジタル表示になったので写真撮影後に数値がはっきり分かるのがブログ的にも良いです。
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ノートパソコンから出る電磁波の周波数は低周波から高周波まで広域です。なので今回はトリフィールドメーターの測定モードは周波数加重モードの「Weighed」のレンジを使って、磁場「MAG」の測定をします。
周波数加重モードは60Hzを基準として周波数に対して数値が加重されるモードで主に人体への影響を知るのに適しています。
このノートパソコンは5GHzでWi-Fi接続しているので、「RF」を使ってマイクロ波も測定してみます。
部分別測定結果発表
測定部位はモニター(表と裏)、キーボード、タッチパッド、底部、ACアダプターの6ヶ所で測定しました。
ちなみに、この部屋の電磁波環境は何も無い状態で0.2mGなのでノートパソコン以外に電磁波の影響を受ける機器はありません。
モニター
モニター部分は前面と背面とを測定します。オフィスなどでは自分の使っているノートパソコンの向こうに人がいる場合もありますからね。
下記のとおり、モニター前面:0.5mG(ピーク値:0.7mG)、モニター背面:0.4mG(ピーク値:0.6mG)と全然問題ありません。この部屋の電磁波環境は0.2mGですがからほぼ影響なしと言って良さそうです。
モニター前面
モニター背面
キーボードとタッチパネルの測定前に
キーボードとタッチパッドは隣接しているために、互いに影響を与えてしまいます。そこで今回は低周波から高周波まで電磁波をシールドする素材「EMSパネル」を使ってキーボード測定時にはタッチパネル部を、タッチパネル測定時にはキーボード部をシールドしてそれぞれの部位からの電磁波だけをキャッチ出来るように工夫して測定します。
EMSパネルがどれぐらい電磁波の影響を減らすのかを確認いただいてから、キーボードとタッチパネルの測定結果をご覧ください。
キーボード
パソコンように頻繁にハードディスクにアクセスしたり、電流の変化が激しい機器は電磁波の数値も上下に大きく振れます。従って実際の数値もさることながら、ピーク値も重要になってきます。写真の赤丸の部分ですが、下の小さい写真では分かりにくいのでクリックして大きな写真で確認してみてください。写真を撮った瞬間は7.9mGになっていますが、ピーク値は12.0mGになっていることが分かります。
タッチパッド部分の影響を無くすためにEMSパネルでシールドしてます。
タッチパッド
今度はキーボード部分をシールドしてタッチパッド部分の電磁波を測定します。キーボード部分に比べるとタッチパッド部分は若干低い数値になってます。これはやはりパソコンのマザーボード等の主要電子部品がキーボードの下辺りに配置されているからでしょう。
底部
結論から言うと「ラップトップパソコン(ノートパソコン)はラップトップ(膝の上)でするな」と言うことです。
ピーク値が45.0mGと非常に高い数値が出ました。
筐体底部にはマザーボードやハードディスクやオプティカルドライブ等が配置されており、その上にキーボードと上側筐体を被せる構造なので底部が最も高くなるのは当然と言えば当然です。テーブルやデスクに置いての作業は問題無いでしょうが、膝の上に直接乗せて作業するのはNGです。
ACアダプター
ACアダプターは当然ながら高い数値が予想されます。予想どおりピーク値46.9mGとなかなか強烈な磁場が出ています。ACアダプターは体からは出来るだけ離した位置に置いて下さい。足の指先が冷えるからといってカイロ代わりに足を乗せてのパソコン作業は絶対やめましょう。
マイクロ波
電磁波測定器トリフィールドメーターTF2のマイクロ波測定範囲は20MHz~6GHzです。パソコンからの出る高周波とWi-Fi通信の2.4GHzや5GHzのマイクロ波が混在しているものと思われますが、ピーク値で1.013mW/m2でした。
まとめ
デスクトップパソコンと比べると必然的に体に近い状態での作業となるノートパソコンですが、モニター部分は意外と低い数値で問題無いレベルでした。問題はやはりマザーボードやハードディスクやオプティカルドライブが配置されているキーボード周辺とその反対側の底部と言えます。キーボード側の対策方法はありませんが、裏側は直接膝の上に置かないようにしてください。
また、タッチパッド部分からもピーク値7.3mGありましたので、外付けマウスを使うほうが操作性の面からもメリットがあると思います。キーボードも外付けにする方法もあるとは思いますが、そうなればもはやノートパソコンの携帯性のメリットが無くなってしまいますね。^^;