簡易型電波暗室の自作に挑戦してみた

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電波暗室とは電磁波の影響を受けない空間のことで、企業や研究機関が電子機器や通信機器の実験などをする際に使用する。
電波暗室は外部からの電磁波の影響を受けない、且つ外部にも電磁波を漏らさないことが必要となる。
今回は電磁波シールドメッシュを使って、簡易型のミニ電波暗室を自作してみることにした。


今回作るのは一辺40cmの正六面体(サイコロ型)なので、大型の機器は無理だが、小型の電子機器やスマートフォンやRFID等のノイズ実験に使用することは出来るだろう。
電磁波過敏症の人は入れないが、電磁波過敏症の小型犬なら入れるだろう。(そんなワンちゃんはいないか
それでは、実際に電磁波の影響を受けない空間を作れるかに挑戦してみよう。


フレーム制作は100円ショップで

100円ショップで以下の物を購入しました。

  1. 40cm×40cmのワイヤーネット×5枚
  2. 結束バンド(110本入)

以上、締めて660円なり。
開口部をひとつ設けたサイコロ型のミニ電波暗室を作ることにします。
ワイヤーネットの材質はスチールですが、表面は塗装をしているので磁石はくっつきますが通電はしません。

接続部分は結束バンドで留めて箱型にします。制作時間は10分程です。

実は網目のサイズも考えていたのだ

下の写真のとおり網目のサイズは3.6cm。
現在主流の携帯電話、スマートフォンの4Gバンドの周波数は800MHz~3.5GHzなので波長は37.5cm~8.5cmとなる。
なので、この網目を4G電波は通り抜けることが出来ないのだ。もちろん金属であることは必要だがこのネットの材質はスチール(鉄)なのだ。
また、Wi-Fiの電波は2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯があるが、こちらも約12.5cmと6cmの波長なので大丈夫。
しかし、次世代ネットワークの5G規格では28GHz帯というミリ波の周波数帯が一部割り当てらる予定。28GHzの波長は約11mm(1.1cm)なのでこの周波数の電波は通り抜けてしまうことになる。だが果たして、そんな指向性が高く使いづらい電波が一般的に使われるようになるのだろうか?
ちなみに周波数と波長の計算はkeisanの「周波数と波長の変換」が便利。

まずはネットだけでどれぐらいシールド出来るのかをみてみよう

使用する電磁波測定器は高周波専用測定器のTM-195を利用します。
この測定器の詳細についてお知りになりたい方はこちら

それでは、何もしない場合のこの部屋の高周波を測定してみましょう。
この測定器は色々な測定の仕方がありますが、今回は任意の時間内で最も高い数値が表示されるMAXモードを使用します。
マイクロ波は頻繁に数値が上下しますので、1分間で最も高い数値で比較することにします。また、単位は電力密度の「マイクロワット/平方センチメートル」に設定しました。

1分間で最も高い数値は0.470μW/cm2でした。とりあえずこの数値を覚えていてください。

次に、作成した電波暗室を被せてみましょう。
660円で作った箱を電波暗室と言ってしまう図々しさ。
1分間で最も高い数値は2.137μW/cm2でした。
半分ぐらいにはなりましたが、底の対策をしていなので下から電波が入ってきています。

それでは、底の対策をしましょう。アルミホイルを下に敷いて、再測定。

ボタンを押す時に手をネットの下から入れると電波が入ってしまうので、棒を使ってスイッチ操作します。

同じように1分間で最も高い数値を見てみましょう。
アルミホイルが光を反射して写真撮りにくいです。
0.154μW/cm2です。
結構減りましたが、電波暗室と言うにはまだまだです。

そこで登場!電磁波シールドメッシュ

電磁波シールドメッシュとは

電磁波シールドメッシュとはナイロン糸に「銀(Ag)」をコーティングして編み上げた素材で高周波電磁波をシールドすることが出来ます。
繊維がもつ「軽量、柔軟性」と、金属がもつ「導電性、電磁波シールド性」等の特性を併せ持った素材です。メッシュ状で透視性があるので中の様子を確認することが出来ます。

まずはアルミホイルと同様に底だけ

偶然にもアルミホイルと同じ0.154μW/cm2です。
アルミホイルも意外とシールド性能は高いのです。

電磁波シールドメッシュで包み込む

それでは6面を電磁波シールドメッシュで包んでいきます。
開口部から手を差し入れて電磁波測定器の操作をします。

今までの同様に最も高い数値を表示するMAXモードで1分間計測しました。
ジャジャーン! 0μW/cm2です。
メッシュ越しなので、若干紗がかかって見にくいですが、クリックすると拡大しますのでご確認ください。完全遮蔽です。もう電波暗室と言っていいよね。

スマートフォンでも実験します

今度はスマートフォンで実験してみましょう。

電波強度の確認のために「Signal Refresh 3G/4G/LTE/WiFi」というアプリをインストールしました。
携帯電波とWiFi電波の強度が同時に確認できるようになっていますが、このアプリひとつ気になったことがあります。
信号強度を表すdbmは通常マイナスで表示され、-40は-80や-100よりも強く、0に近い方が強度が強いということなのですが、このアプリはそうはなってはおらず、電波が強くなると正数表示が上がるようになっています。恐らく正規の表現方法をつかうと一般の方は混乱するため、分かりやすくしているのかも知れません。
ま、それはいいとして実験に戻りましょう。

まずは、電波暗室に入れない状態での数値を確認します。
携帯電波:40.36dbm、Wi-fi電波:31.00dbm

電波暗室に投入

作成した電波暗室にスマートフォンを入れましょう。
WiFi電波の遮断には成功しましたが、しばらく待っても携帯電波の4Gは頑張ってます。
スマートフォンはWiFi電波より公共の携帯電波をキャッチするほうが重要なため、4G電波の受信感度が落ちてくると端末の出力を相当上げる仕様になっているようです。
電波状況の悪い場所では電池の消耗が早くなるのも頷けます。
携帯電波:19.32dbm、Wi-fi電波:遮蔽成功

2枚重ねで再挑戦

ならば、2枚重ねで再挑戦してみます。
洗濯バサミで留めまくって、もはやスマートさは無くなってしまいましたが、これでどうでしょうか。

やりました。携帯電波もWi-fi電波もシールドに成功しました。
2枚重ねでさらに紗がかかって写真は見にくくはなりましたが、電波の完全遮断に成功していることをご確認ください。

以上、最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。
今回は簡易型の電波暗室の作成に挑戦しました。
今回使用した電磁波シールドメッシュAG32はこちらから購入可能です。

 

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