トリフィールドメーターTF2のレビュー

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新型の電磁波測定器トリフィールドメーターTF2を入手したので、さっそくレビュー投稿します。表示がデジタル液晶ディスプレイとなり、サウンドアラート機能やバックライトも搭載。何より高周波(マイクロ波)の精度が大幅に向上しました。旧型のトリフィールドメーター100XEとの比較も含めて詳細に検証しました。

トリフィールドメーターとは

トリフィールドメーターとは米国の AlphaLaB inc.社が製造販売している電磁波測定器です。AlphaLaB inc.では様々な種類の測定器を販売していますが、その中でもトリフィールドメーターは世界で最も売れている電磁波測定器です。理由は1台で低周波の電場と磁場、そして高周波(注1) の3種類の電磁波が測定できるという画期的な電磁波測定器であることです。バージョンアップは重ねて性能は向上していましたが、外観の大幅な変更は無くマイナーチェンジの域は脱しませんでした。また、アナログ指針であったため、電磁波が安定しない環境下では読み取り者によっては誤差が生じることもありました。そのうえ、マイクロ波の感知能力が100mW/m2~ と携帯電話(スマートフォン)やWi-Fiのパケット伝送効率の向上した現在では針が触れることすら稀になってきてました。(電子レンジのような強力なマイクロ波に関しては十分測定可能でしたが。)

そこで今回、フルモデルチェンジして登場したのがトリフィールドメーターTF2です。今までネックだったアナログからデジタル表示となり、強度によって音でお知らせするサウンドアラート機能やバックライトも搭載されました。また今まで「フラット周波数対応」と「周波数加重モード対応」があったものがダイヤルを切り替えるだけで簡単変更できるようになりました。(注2)
そして最も向上したのは高周波(マイクロ波)の測定性能です。表示分解能(測定可能な最小単位)が100mW/m2から0.001mW/m2と大幅に向上しましたので携帯電話やスマートフォンや基地局、Wi-Fi 等の微弱な電波も捉えることが出来るようになりました。TF2が1台あれば低周波から高周波まで広域周波数の測定が可能なので、電磁波環境を把握するには十分機能を果たしてくれます。

注1:)マイクロ波の測定時にダイヤルを合わせる「RF」はRadio Frequencyの略です。直訳するとラジオ波となりますが、日本語でラジオ波と言うとAMラジオのkHz帯を想像する方もおられると思うのですが、トリフィールドメーターTF2のRFレンジでの測定可能周波数は20MHz~6GHzなのでここでは「高周波」や「マイクロ波」と呼びぶことにします。

注2:)トリフィールドメーターTF2の磁場と電場の測定にはStandard(フラット周波数)とWeighted(加重周波数)があります。Standardは周波数レンジ40Hz~100kHz間を周波数の影響を受けずに測定します。一方Weightedは60Hzを基準に較正されており、周波数があがればその割合で数値に反映されます。例えば60Hzで2mGの場合、120Hzでは4mGと表示されます。(Standardの場合はどちらも2mG)
これは周波数が上がればエネルギーが強くなるので加重モードと言います。要するにStandardとWeightedの数値が違うということは60Hz以上の周波数の電磁波を感知しているということになり、人体への影響を考慮する場合はWeightedの数値を参考にするほうが良いでしょう。

屋内で色々測定してみた

それでは色々と測定していきましょう。まずは屋内の電磁波発生源を見ていきます。

テレビ

Standard-MAG フラット周波数-磁場:0.4mG(ピーク値0.5mG)

Standard-ELEC フラット周波数-電場:172V/m(ピーク値181V/m)

Weighted-MAG 周波数加重-磁場:2.0mG(ピーク値2.3mG)

Weighted-ELEC 周波数加重-電場:171V/m(ピーク値179V/m)

ノートパソコン

パソコンからは50~60Hzの周波数からクロック周波数の数GHzまでかなり広域に渡って電磁波が出ているはずです。
Standardのピーク値が8mGであるのに対してWeightedはピーク値21mGになっていることからも周波数加重されていることが分かります。

Standard-MAG フラット周波数-磁場:3.2mG(ピーク値8.0mG)

Standard-ELEC フラット周波数-電場:34V/m(ピーク値38V/m)

Weighted-MAG 周波数加重-磁場:10.3mG(ピーク値21.0mG)

Weighted-ELEC 周波数加重-電場:36V/m(ピーク値42V/m)

冷蔵庫

Standard-MAG フラット周波数-磁場:0.2mG(ピーク値0.6mG)

Standard-ELEC フラット周波数-電場:544V/m(ピーク値567V/m)

Weighted-MAG 周波数加重-磁場:0.2mG(ピーク値0.3mG)

Weighted-ELEC 周波数加重-電場:463V/m(ピーク値514V/m)

IHクッキングヒーター

続きまして、卓上型のIHクッキングヒーターの電磁波を測定してみます。
IHクッキングヒーターから出る電磁波の周波数は極低周波の50Hzや60Hzに加え、コイルに流れる電流の20kHz~60kHですが、どちらもトリフィールドメーターTF2の測定可能周波数に入っているので問題なく使えます。

Standard-MAG フラット周波数-磁場:64.4mG(ピーク値65.9mG)

Standard-ELEC フラット周波数-電場:110V/m(ピーク値128V/m)

Weighted-MAG 周波数加重-磁場:69.3mG(ピーク値71.0mG)

Weighted-ELEC 周波数加重-電場:106V/m(ピーク値137V/m)

電子レンジ

今まで低周波の電場と磁場を測定してきましたが、ここからはマイクロ波の測定をしていきます。まずは電子レンジから。
マイクロ波の測定をする場合は赤丸で囲んだピーク値が重要です。理由はマイクロ波の数値は目まぐるしく変わるからです。ピーク値はその時点での最高値を3秒間キープしますのでピーク値を参考にするほうが良いでしょう。
下の写真は500Wで作動している電子レンジの前面から約50cm程度離れた状態です。

4.114mW/m2 (ピーク値 16.025W/m2

さらに下の写真は扉に密着させた状態です。ピーク値が「1-.—-」になっています。これは測定可能範囲19.999mW/m2を越えてしまったのでエラー表示になっています。(やはり電子レンジの前面は相当強烈です)

10.899mW/m2 (ピーク値 19.999mW/m2以上)

Wi-Fiルータ

Wi-Fiは2.4GHz帯と5GHz帯とがあります。旧型トリフィールドメーターは3GHzまでしか測定できませんでしたが、TF2は6GHzまで測定できるので5GHz帯のWi-Fi電波も拾ってくれます。ちなみに今回測定したルータは2.4GHzと5GHzどちらも使用しています。
動画を見ていただいたらお分かりのとおり、ルーターやスマホや携帯の通信電波は大きく変化します。これはデータがパケット毎に分けて送受信されているのが目で見て分かるのが面白いです。これもピーク値が重要になります。

スマートフォン

上ではルーター側に近接測定しましたが、次にスマートフォン側も測定してみます。データを受信することで通信が頻繁に行われていることが確認できます。

屋外でも測定してみました

室内の測定はこれぐらいにして、トリフィールドメーターTF2を持って外に行ってみました。

送電線の鉄塔付近

やはり一番気になるのは送電線ですね。送電線の鉄塔付近で旧型のトリフィールドメーター100XEと比較してみました。
100XEはフラット周波数対応器なのでStandardで比較したところ磁場はどちらも17mGでほぼ同じ。
電場はTF2が9V/mに対して100XEのほとんど針は触れずに非常に分かりくいです。やはりデジタル表示は想像以上に便利です。
送電線の鉄塔付近のこの場所は60Hzに支配されているようで、StandardモードもWeightedモードもほぼ同じ数値でした。

  TF2 100XE
磁場
Standard
電場
Standard
磁場
Weighted
 
電場
Weighted
 

携帯基地局付近

基地局に近ければ近いほど電波強度は高いというわけではありませんが、とりあえず携帯の基地局を見つけたので、その付近でマイクロ波の測定をしてみました。

バックに上の基地局を入れて撮影したかったのですが、逆光でうまく撮影できずに基地局に背を向けるかたちで撮影したのが下の写真です。
100XEはわずかに針は触れてますが、わずか過ぎて読み取り不可能です。
一方TF2はピーク値が0.246mW/m2で瞬時値は0.077mW/m2とはっきりと数値が出ました。やはりマイクロ波の測定レベルは雲泥の差があります。

  TF2 100XE
RF
マイクロ波

トリフィールドメーターTF2はコスパ最高だが改善点も

以上でトリフィールドメーターTF2の実力調査を終了します。
TF2はコスパに優れた非常によく出来た電磁波測定器です。今までネックだった高周波(マイクロ波)の感度が劇的に向上したおかげでこの1台だけで一般家庭電化製品やIHクッキングヒーターからマイクロ波のWi-Fi、携帯電話、スマートフォンや携帯基地局等々、我々の身の回りに有る電磁波はすべて測定可能です。もちろん、使いにくいと感じた点もあります。

1. オートオフ機能が無い
スイッチを切り忘れると新品電池でも20時間(バックライトと付けていれば12時間)で電池が死亡。デジタル液晶になれば電池の消耗が早いのは当然ですがスイッチを切り忘れると悲惨です。屋外に持ち出して測定した際にスイッチを切り忘れて電池残量がほぼ0になってしまいました。電池は市販の9V型の乾電池なので100円ショップでも入手は可能ですが、スイッチの切り忘れには注意が必要です。(屋外測定には予備電池をお忘れなく)

2. バックライトの調整ボタンとサウンドアラート機能が電池カバーを外さないといけない
これは結構面倒です。バックライトは3段階に調整可能なのですが、その都度、電池カバーを外さなければなりません。また、サウンド機能は数値の変化を音で教えてくれるので画面を見ずに電磁波発生源を特定するのにも便利ですが、このボタンも電池カバーを外さなければなりません。頻繁に電池カバーの付け外しをするとカバーの爪が弱ってこないかが気にかかるところです。

最後にひとつアドバイスを

今回は測定シーンを分かりやすいように、電磁波発生源に測定器を近づけて撮影しましたが、重要なのは多くの時間をすごす場所(位置)での電磁波環境です。家庭やオフィスなどで一番長い時間を過ごす場所を中心に測定してみてください。
また、誰もが気になるのは安全基準だと思います。電磁波ばく露の防護指針についてはICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の国際基準を参考に各国でガイドラインを設けています。ちなみにICNIRPのガイドラインは磁場2000mG、電場5000V/m、高周波10000mW/m2とトリフィールドメーターTF2で測定可能な範囲をはるかに越えた非常に高い数値です。また逆に極端に低い数値を推奨する団体もありますが、トリフィールドメーターのメーカーのAlphaLab社の説明書には「典型的な家庭やオフィスでは、磁場は5.0mG未満、電界は20V/m未満、高周波は5.000 mW/m2未満です。」との記述がありましたのでその辺りを参考数値にするのが良いのではないでしょうか。

今回紹介したトリフィールドメーターTF2を無料サポート付きで購入

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